ごんあじ学

五島灘のアジがおいしい訳

本来回遊魚であるはずのアジが、比較的浅い海の特殊な範囲に棲みついたものを『瀬付きアジ』といい五島灘には体色が淡い黄色のキアジが生息している。このキアジを生きたまま、まき網で捕獲し、活かし込みという人の手を加えて作られるのが『ごんあじ』である。同じアジでも、沖合にはクロアジと呼ばれるアジが生息している。橘教授によると、クロアジとキアジの差はツナキサンチンという色素によるもので種類としては系統の違いという程度で大きな違いは見られないという。ただ、魚の旨さを左右する油が付く部位に変化が見られる。


ごんあじと普通アジの筋肉内脂肪の割合
オイルレッド(染色液)に浸けると脂肪の部分だけが赤く染まる。
一見しただけで、ごんあじの脂の乗りがよいことがわかる。
左の図はごんあじと普通のアジの筋肉内脂肪の割合を調べたものである。
調査時期は3月で、アジの生育状態としてはあまり良くない時期であったが普通のアジに比べてごんあじの方は肉質全体に平均して脂が乗っていることがわかる。旬である夏になるとさらに脂の量が増え、いわゆる脂が乗った状態になる。

活かし込みの効果(もともと旨い魚が活かし込みをする事でさらに旨みを増す)

 水揚げした魚を生きたまま傷つけずに生け簀に運び、そこで1週間から10日間静かに活かしておくと捕獲の時のストレスや運搬の際に生じた筋肉内の乳酸が減って、元の健康な状態に回復する。
 ごんあじがおいしいのは、この活かし込みというステップを踏んでいるからである。また、締めるときは活け締めという方法で瞬時に絶命させるので暴れることもなく肉質は良いままで、さらにエラの部分に包丁を入れて血を抜くので、身の間に血液が回らず鮮度を保つことができる。

ごんあじ開き・若ごんあじ開き

五島灘で漁獲され、長崎魚市場で水揚げされた新鮮な黄金色の瀬付きあじに、一手間をかけ更に美味しくいただけるようにした加工品です。
【解説】
長崎大学水産学部教授 橘 勝康
「養殖魚の餌料栄養と免疫防御」「養殖魚の肉質改善」を研究テーマに、栄養学、食品学の分野から水産業にアプローチ